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NovelJam 2018秋 観戦記第2話

NovelJamの華はチーム決めである。

突然、見ず知らずの人間が出逢い、本をつくる。いや、そういうイベントなのだが、真面目に考えると不思議なシチュエーションである。おかしいからこそ、初対面の瞬間はいつも以上に気合を入れなければならない。

今回は参加者全員による90秒の自己紹介が行われた。前回は編集者がプレゼンを行い、それを踏まえて著者とデザイナーが投票を実施した。そのレギュレーションは改定され、プレゼンの条件は参加者全てが等しくなった。

もちろん、事前にSNSで交流したり、note上で自己紹介をしたりと、交流は行われていた。
でも、やっぱり現場が一番盛り上がる。手慣れた様子で持ちネタを披露する者、緊張の中で言葉を振り絞る者……。その表情は初めて逢ったときと同じく、ワクワクと不安の狭間を行き来していた。

いよいよ、運命のチーム決め。こちらも前回とルールが変わった。まず、編集とデザイナーのマッチングが行われる。そこでペアが決まったのち、著者が行きたい編集&デザイナーがいるチームに投票する。一発でチームが決まるのではなく、二段階で決まる。

この「二段階投票」は「徐々にチームが決まっていく」点で興味深かった。編集とデザイナーで半分の輪郭が決まる。ひとつ間をつくることで、より著者の選択も戦略的にならざるを得ない。ときには激しいバトル(※応募者多数の場合、じゃんけんで決定)も繰り広げられた。
人気が集まったのは昨年度のグランプリ著者&山田章博賞デザイナーが率いるチーム(編集:ふくだりょうこ、デザイナー:杉浦昭太郎)と、NovelJamのあらゆる戦法を知り尽くした編集・波野發作氏が率いるチーム(デザイナー:ほさかなお)だった。大会経験者に人気が集まるというのは、僕の事前予想通り。

でも、このゲームはチーム決めがゴールではないと、全てのチームが知っている。それが垣間見られたのが、三木一馬氏の講演中のことだ。質問コーナーで積極的に手を挙げるのは、大会初参加者だったり、この大会で編集へ足を踏み入れる方(※アンジェロ氏や腐ってもみかん氏)だった。モノにできるチャンスは、何でも受け止めて吸収したい。そんな意欲に圧倒されるばかりだった。

さて、お題コーナーである。予め伝えておくが、お題発表コーナーは盛り上がらなかった。運営が演出に失敗したからではない。それはお題自身が、演出の必要のないものだったからだ。

「家」

家。んっ? 家ってなんだ? ホーム、ハウス、ファミリー……???
おおっ、これはチームにいる一人ひとりの「色」がぶつかるお題では!?

少しざわついた会場はすぐに、ピリッとした空気に変わった。冬の気配が深まりだした八王子市の片隅で、創作の火は灯されたのだった。

【NovelJam 2018秋 全チーム紹介】

※上段左からナンバリング、カギ括弧内はチーム名/下段は役割と参加者名
 編は編集、デはデザイナー、著は著者の略

・Aチーム 「いちばん堂」
編:ふくだりょうこ、デ:杉浦昭太郎、著:一之瀬楓、最堂四期
・Bチーム 「Bukkowasu」
編:宮坂琢磨、デ:CAROL、著:藤宮ニア、維嶋津
・Cチーム 「東蛇(イースト・スネーク)」
編:武原康滋、デ:田島佳穂、著:坂東太郎、白色黒蛇
・Dチーム 「みかん組」
編:腐ってもみかん、デ:古海あいこ、著:吉川キイロ、西山保長
・Eチーム 「モリサワ」
編:天王丸景虎、デ:恩田未知子、著:森田玲花、沢しおん
・Fチーム 「アンジェロと雪の女王」
編:アンジェロ、デ:新月ゆき、著:藤谷燈子、太田有紀
・Gチーム 「GOMERA」
編:波野發作、デ:ほさかなお、著:藤城孝輔、西河理貴
・Hチーム 「RISE」
編:つきぬけ、デ:米田淳一、著:日野光里、澤俊之

以上、全8チーム・32名。読者の皆様、応援の程、何卒よろしくお願いいたします。

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